ルフィ型特殊詐欺グループ拘束 拠点カンボジアは犯罪者天国だった?

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カンボジアを拠点とした特殊詐欺グループとみられる日本人の男19人が現地当局に拘束され、警視庁が詐欺容疑で逮捕状を取ったことが7日、分かった。有料サイトの未払い料金があると偽って電子マネーをだまし取った疑いがあり、警視庁は来週にも捜査員を派遣して日本に移送し、逮捕する方針。日本人の特殊詐欺グループが海外で逮捕される事件が散見されるが、どのような事情なのだろうか。

 捜査関係者によると、19人は20~50代。カンボジア南部シアヌークビルのリゾートホテルにグループの拠点があると日本大使館に情報提供があり、連絡を受けた現地当局が1月下旬にホテルを捜索し、身柄を拘束した。警視庁は今月6日に逮捕状を取得した。

 グループはNTTドコモを装って日本国内の携帯電話番号に連絡先を記載したショートメールを送り、電話をかけてきた人に「有料サイトの未払い料金がある」とうそを言って電子マネーを購入させる手口を繰り返したとみられる。

 国内での取り締まりが強化されていることを背景に、特殊詐欺グループが海外から国内にうその電話をかけるケースが相次いでいる。

「ルフィ」などと名乗り、各地で相次いだ広域強盗事件を指示した疑いがある渡辺優樹被告(38)ら4人はフィリピンを拠点とした特殊詐欺グループで、廃ホテルで最大100人規模で特殊詐欺を行っていた。フィリピン当局に拘束された後、入管施設ビクタン収容所内から、SNSを使って闇バイトで実行役を募り、特殊詐欺の“カモリスト”を基に強盗を行わせていたことで、日本中に衝撃を与えた。

 元暴力団関係者は「ルフィグループの犯行は、賄賂をもらった収容所のスタッフがスマホをルフィたちに渡し、使用を黙認していたのが問題であり、キモでした。世界には賄賂を渡せば犯罪を見逃してくれる国は多々あります。日本や中国の特殊詐欺グループはインドネシア、カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、ガーナ、ナイジェリアなどにも存在します」と指摘する。

 賄賂で何でもしてくれる…それはカンボジアにも当てはまるのかもしれない。世界の汚職を監視する非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」が先日、2022年版「腐敗認識指数」のランキングを発表した。180の国と地域を対象にしたもので、カンボジアは150位だった。フィリピンは116位。ちなみに最も腐敗がない国はデンマークで、最下位180位はソマリアだった。なお、日本は18位だった。

「2011年の暴排条例施行後、日本でシノギができなくなったヤクザがすぐに海外に渡り、それぞれの国の政治家、警察幹部、軍幹部に取り入ろうとしました。特に成功したのがフィリピン、カンボジアと言えるでしょう。ヤクザが借金まみれの人をカンボジアに連れて行って、特殊詐欺をやらせたのはフィリピンよりカンボジアが先だったと思います」(同)

 元山口組最高幹部で、後藤組元組長の後藤忠政氏は2008年に引退後、11年ごろカンボジアに移住して実業家として大成功。カンボジア国籍を取得し、伯爵に相当する称号を授与された。

 最近は日本の警察がインターポール(国際刑事警察機構)を通して、海外にいる特殊詐欺グループや犯罪者を拘束するよう要請し、それぞれの国が拘束に応じるようになってきた。また、通報があれば地元警察が動くようになってきた。

「ルフィのことでフィリピン政府は日本に恩を売れた。今後も東南アジアやアフリカの国が日本に恩を売るために、要請があれば逮捕するケースが出るでしょう」(同)

 それでも、それぞれの国に潜伏している犯罪グループは日本人だけではない。中国やナイジェリアなどには世界中の犯罪グループが潜伏しているため、地元警察の手は足りないだろう。

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