SNS型投資・ロマンス詐欺が急増 1〜3月4.5倍で279億円

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SNSを使った投資詐欺やロマンス詐欺について、2024年1〜3月に全国で判明した被害額が計約279億8千万円にのぼったことが16日、警察庁のまとめでわかった。前年同期比で約4.5倍に急増しており、同庁は「極めて深刻な状況と捉えている」としている。

著名人などになりすました手口が目立つ「SNS型投資詐欺」は24年1〜3月に計1700件確認され、前年同期の271件から6倍以上に増加。被害額は計約219億3千万円で前年同期の約29億1千万円から約7.5倍になった。被疑者が詐称した職業は「投資家」と「その他著名人」で半数以上を占めた。

恋愛感情などを抱かせ金銭をだまし取る「SNS型ロマンス詐欺」は24年1〜3月に計603件確認され、前年同期の295件から約2倍に増加した。被害額は約60億6千万円で前年同期の約32億2千万円から2倍近くに増えた。

23年10〜12月の被害額と比較すると、SNS型投資詐欺は約92億1千万円増え、約1.7倍となった。ロマンス詐欺は約4億8千万円減少した。

著名人かたり信頼感を演出 ネット広告対策も急務

被害が増加する背景にはSNSの浸透に加え、投資への関心の高まりがある。従来型の特殊詐欺と異なり、実際に金をだまし取る前にSNS上でやりとりしながら被害者に親近感や信頼感を抱かせる特徴がある。警察幹部は「被害者は相手を信じ込んでいるため多額の振り込みをためらわないようになっている」と指摘する。

4月には、茨城県内に住む70代女性が計約8億円をだまし取られる投資詐欺事件も発覚した。茨城県警によると、女性はインスタグラムに表示された広告をきっかけに著名な経済アナリストを名乗るLINEアカウントに誘導され投資を勧められたという。

兵庫県警によると、今月には神戸市に住む70代男性が著名な投資アナリストを名乗るSNS上のアカウントに投資を勧められ、計約6億6千万円をだまし取られる事件も明らかになった。

名前や写真を悪用されている著名人や起業家もSNS上で詐欺への注意を呼びかけている。

詐欺に関与するグループは海外を拠点としている可能性もあり、警察庁は捜査や実態解明に加え被害を抑止するための啓発に力を入れる。同庁の担当者は「今後、潜在化していた被害がさらに明らかになる可能性もある」と指摘する。

自民党は詐欺被害のきっかけになる著名人になりすました広告への対策を議論するため、プラットフォーム事業者や広告関係者のヒアリングを続けている。政府は6月にも被害防止に向けた対策プランを策定する方針だ。

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